白い糸くずの群れ。/元親 ミッド
と、
再び男に問うのだった。
坊、ありゃぁ愛だよ。
男はそう答えると、グラスに残った
琥珀をぐっとあおった。
おさなごは、ふぅん。と言って
ものめずらしそうに目を輝かせて
暗闇に踊る、愛を眺めるのだった。
氷のように冷たい窓ガラスが
おさなごの鼻先をチクリとさして
おさなごが慌てて窓ガラスからおののくと
吐息でスリガラスのように白く濁った円が
少しづつ小さくしぼんで剥がれ落ちてしまった。
ねぇ、とおちゃん。
なんだい、坊?
あの、しろいあいは、ここにしかふらないの?
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