白い糸くずの群れ。/元親 ミッド
そうだなぁ、坊。
白い愛は、寒いところでしか降らねぇなぁ。
でも、白くはねぇが、俺たちの街にだって
愛は降るんだぜ、坊。
ふぅん。
おさなごは目をこすってちょっと眠たそうだった。
男のそばまで寄ってきて、すとんと座ると
そのままコロンと男の脇でうずくまった。
男は、そばにあった毛布をおさなごにそっとかけ
ぽんぽんと、おさなごのあたまを撫でるのだった。
それでおさなごは安心したのか
ちいさな寝息をたてていた。
男は、おさなごのそばで
グラスに琥珀を注ぎ入れ
それを黙って、口に運んだ。
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