エッセイ ハエを逃がしてやったこと/Lucy
じたばた死にものぐるいで、無駄な努力を続けるばかり・・。
わたしは、声に出して言う。
「ちょっと、後ろへ下がってみてみればいいのに・・・。」
そう、ちょっと後ろへ下がってみる、すると視野は開け、自分のおかれた状況が解り、思いもよらない出口がみつかるかもしれないのだ・・。
しかし、人間にもハエにもそれができない・・・。などと思う。
そのへんにあったプラスチックの透明のファイルケースを持ち出して、ハエの限界を狭めてやる。ハエはそれにも気づかず無駄な直進のためにアクセルをふかし続けていたが、とうとうその箱の内側の壁に一瞬だけ移動した。
つまり、ちょっとだけ、後
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