エッセイ ハエを逃がしてやったこと/Lucy
、後ろに下がったのだ。
その一瞬を逃さず、私はその箱をあいている窓の隙間にむけて素早く移した。移したと思った瞬間、もうハエの姿は見えなかった。
彼は飛び去ったのだ、おそらく再び自由のなかへ。
飛んでいく姿を確認することはできなかったけど、私は安堵してゆっくり窓をしめた。
ハエ君おめでとう。君は私に感謝するだろうか・・・。
外は寒く、それからまもなく、晴れていた空がみるみる曇り、激しいにわか雨が降りだした。
(2010年9月)
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