「のっぺらぼう」/元親 ミッド
を自然と身に着けていた。
光り輝く派手な看板群が放つ、まばゆい光線のシャワーの中ですら、
それにかすりもせずに歩くことができた。
それは、ごく自然なことだった。
福岡市内をぬけ、郊外に出る頃には、迫りくる雑多な構造物の囲いから逃れ
少しづつ、風通しのいい風景になって、ちょっとした解放感に、ほっとしたりする。
それでも国道の脇には、電柱並木がしつこく続き、どこまでもどこまでも
監視しているような、そんな脅迫的な威圧感を放っていた。
それでもやはり我々は、そういった圧力すら感じないくらいに、
見事に己に向けられて放たれた主張を、意識
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