「のっぺらぼう」/元親 ミッド
 
軽トラックで向かっていた。

国道3号線にのって、東へ東へ。

福岡の街は、地方都市ながらも立体的な街で、

道は上に下にと複雑に交差して絡み合い、

新しいビル、古いビルの森をかきわけて、

張りつく地下茎のようにこの街を侵食していた。

ビルの森に林立するそれらの構造物は、色も形も個性的であり、

いかに人の目を引くかに終始し、常に何かしらの主義主張をし続けていた。

しかし、一々そういった主張を受け止めていてはきりがないこともあって、

そこで暮らす我々は、いつの間にやらそういう「押しつけられるもの」を、

意識せずに、いなしたりかわしたりするすべを自
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