【HHM参加作品】 ビル・マックィーンの詩について。あるいは夢について。/Debby
 
るかもしれない、そう言えばだれも否定はしない。僕の人生にだってそれなりの意義があるかもしれない。やめよう。さて本題だ。
 二〇〇一年の九月、彼の資産は一時に膨れ上がった。
 彼がベーコン・エッグを焼いて稼いだいくらかのカネ、そしてありとあらゆる方法(もちろん、とてもいかがわしい方法だ)でかき集めた八万ドル。彼は、これらのすべてを全力で空売りした。かけられる限りのレバレッジをかけ、可能な限りの全ての空売った。ささやかな金額を、金融工学の最も基礎的な狂気に乗せて彼は放った。
 それは、だれが見ても狂気の沙汰としか言いようのない投機だっただろう。二〇〇一年の九月十日。それだけの取引を終えると、ビル
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