木は孤独だろうか?/すみたに
 
しそうに紅く染めた彼女は、ますます身体ももじもじとさせ、視線を伏せた。彼女は明らかに素直に言おうとしなかった、それは多分私に惚れているからだと思った。しかし、私に惚れているからこそ、その先に待ち受けるであろう醜態を晒すわけにはいかなかったようで、場面が転換し私たちが控える頃になって漸く白状した。
「やっぱりね、トイレ行きたい……」
「そう」
 私は子どもなりに気を遣い、先生に言い辛そうにしていた彼女の代わりに、私がトイレへ行きたいが、彼女についてきてもらうということにした。固より生徒を馬鹿にする馬鹿教師だから私がそう言っても、軽侮の念があけすけな笑みを浮かべて、「一人でトイレもいけないのか」
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