あずきの恋人 (連載?)/たま
 
 わたしは懐中電灯を消して、鈴木さんのよこにすわった。
 アー……。
 えっ、イチロー?
 イチローが鈴木さんの膝のうえで寝そべっていたからびっくりした。
「イチローもついてきたんだよ。」
「うん、そうだよね、イチローも、鈴木さんを見送りたいんだと思う。」
「ねぇ、あずきちゃん、この子も家がなくなっちゃうから、あずきちゃんとこへおいてくれないかねぇ。」
「うん。心配ないよ。わたし、もうそのつもりだから、おとうさんに頼んでみる。おかあさんはもちろん、いやだって言わないし、イチローもいやじゃないよね。」
 アー。
「そうかい……。じゃあ、この子をあずきちゃんに預けるから、つれて帰って
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