あずきの恋人 (連載?)/たま
たいなだめな魔法使いに……、ほんとに……、ぐふうぅうう……。」
鈴木さんは眼鏡をはずして、手のひらで顔をかくして泣いちゃったの。わたしもすこし、泣いちゃった……。
「じゃあ、河川敷で待っててね。わたしが行くまで帰らないでね……。」
鈴木さんと約束して、わたしは家に帰った。
目のまえは真っ暗だった。
河川敷の向こうには、河をへだてた対岸の街の灯りがあったけれど、堤防から河川敷におりる階段は真っ暗で、もう、秋の虫がいっぱい鳴いていた。わたしは家から持ってきた、ちいさな懐中電灯を点けてゆっくり階段をおりた。
おかあさんたちが寝ちゃったのは、十一時ごろだったから、いまは十一時半ご
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