凧(カイト)/Lucy
僕は水色のグライダーではなく
鳥の中でも一番ありふれた
雀やカラスでもなくて
ひばりのように高く
カモメのように鮮やかに
はばたきたいと
願う
風に乗り
絶妙なバランス感覚で
海を見下ろし
一本の糸に繋がれて
ああその糸を切りさえすれば
僕は自由に
更なる高みに
羽ばたける
糸を切ろうと
力の限り
引っ張り続けた
僕は自分一人の力で
遥かな海の向こうまで
飛び翔ることを
希いつづけた
その糸を決して離さずに
握り続ける誰かの手を
ただ疎ましく
憎く
蔑みさ
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