あずきの恋人 (連載?)/たま
たしは覚悟をきめて、あそこに飛びおりるしかないと思った。よし……、目をつむって両手をはなしたの。
トン……。
あれ?
わたしは軽々と庇に着地していた。
わっ、すごい……、やっぱし猫なんだ。
せまい庇のうえを玄関に向かってゆっくりあるく。リビングの窓があいていて、おとうさんと、おかあさんの話し声が聞こえた。
え……、おとうさんあしたから出張なの? あ……、おかあさん、なんだか機嫌がいいわね。もう、のん気なひとなんだから……。
庇はすぐに途切れて玄関がみえたけれど、地面まではまだ、数メートルもあった。
あ、おかあさんの車だ……。
玄関のよこにガレージがあって、おか
[次のページ]
戻る 編 削 Point(13)