あずきの恋人 (連載?)/たま
 
たしは覚悟をきめて、あそこに飛びおりるしかないと思った。よし……、目をつむって両手をはなしたの。
 トン……。
 あれ? 
 わたしは軽々と庇に着地していた。
 わっ、すごい……、やっぱし猫なんだ。
 せまい庇のうえを玄関に向かってゆっくりあるく。リビングの窓があいていて、おとうさんと、おかあさんの話し声が聞こえた。
 え……、おとうさんあしたから出張なの? あ……、おかあさん、なんだか機嫌がいいわね。もう、のん気なひとなんだから……。
 庇はすぐに途切れて玄関がみえたけれど、地面まではまだ、数メートルもあった。
 あ、おかあさんの車だ……。
 玄関のよこにガレージがあって、おか
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