あずきの恋人 (連載?)/たま
 
五センチほどあけて、部屋の電気はそのままにして、わたしはベッドに腰かけた。
 九時五十分……。うす暗い部屋に、ちいさな胸の鼓動が、時を刻む時計のおとのように流れて、わたしはその胸に、にぎりしめたガラス玉をそおっとあてた。

 十時になった。

 ……。
 あれっ? ……なにも変わらない。……もう、鈴木さんったら、なにしてるの?
 わたしはちいさな部屋の灯りをみあげていた。

 なんだか、あったかい……、えっ、ガラス玉?

 ふっと、気づいたら、にぎりしめたガラス玉がオレンジ色に染まって、ぼんやり、かがやいていた。わたしは手のひらをすこしひらいて、ガラス玉に顔をちかづける。

[次のページ]
戻る   Point(13)