あずきの恋人 (連載?)/たま
 

 
 わたしはいつもの通学路にでると、猫又木山団地をめざしてけんめいに走った。ほとんど、目のまえの地面だけしかみえなくて、おおきな空をみあげたら、あかるい星がいっぱいみえた。猫の世界って、公園のブランコに乗ってるみたいだと思った。ときどき、地面に吸いこまれるように、足がもつれて転びそうになったけれど、そんなときは、しっぽをまっすぐのばしてバランスをとれば、転ばないことがわかった。
 あ……、まえからなにか来る。あれは車のライト? 
 わっ、まぶしい!
 ぐおぉー……って、すごいおとがしてわたしのからだが、ふっとびそうだった。
 車のうしろからはバイクも走ってきて、しろい排気ガスをあ
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