疲労/薬堂氷太
 
るのだろう

そんなことを考えている間に もうすぐ九千四百九十体目の僕を
押し入れにしまう時間になってしまった
すでにいっぱいになってしまった押し入れの中身は
どれもこれも キシリキシリ と歯ぎしりをしながら
物乞いのような目で見つめてくるから
気持ちが悪い

何が後ろめたいのだろう
そんな気持ちになるから
それが何故か知りたいから
そこを開けるのが億劫で
いつもいつも 押し入れに入りたがる
抜け殻の手を無理やり握って 
一緒に座って興味もない深夜放送を見ている

でもそのまま一緒に朝を迎えてしまっても
結局いつも何故かわからなくて
そんな日は酷く後悔するから
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