疲労/薬堂氷太
から
めんどくさくて仕方ないけれど 手を離して抱きかかえて
軋むドアをこじ開けて 無理やり押し込める
そうしてまた僕は真っ黒な瞳の夢の中で 駆けずり回って
偽りの幸せでさんざんお腹をいっぱいにしてから
なにもない空っぽになって生き返る
押し入れは相変わらず歯ぎしりの音でうるさい
なんだか
だんだん
飛ぶように散る金切声より うるさくなってきている きがする
誰かにそれを話したら
「そんなものさっさと捨てりゃいいのに」だって さ。
何も僕のこと知らない癖に偉そうなことを言うそいつの
全力で口角を上げて唇をひん剥いている顔が
僕には腹立たしく思えて
仕方がない
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