あずきの恋人 (連載?)/たま
にすわって、しばらくぼんやりしていた。もう、涙はでなかったけれど、家に帰って、おかあさんになんて言えばいいのかわからなかった。
「あずきちゃん……。」
えっ……?
気がついたら目のまえに、鈴木さんが猫をだっこして立っていたの。
「鈴木さん!」
アー、アー……。
あっ、イチロー? え……、どうして!
「ごめんね、あずきちゃん。」
ごめん……って、なに?
鈴木さんは眼鏡をかけていたから、あの日の鈴木さんじゃないみたいだったけれど、まちがいなく、鈴木さんだった。
「ねぇ、あずきちゃん、あたしの家でつめたいジュースでも飲もうよ。ね、いらっしゃい。」
う、うん……。
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