あずきの恋人 (連載?)/たま
 
けれど、ずっと、話し中でだれもでなかった。
「おかあさん、わたし、行ってくる。」
「え、どこへ?」
「文化会館よ。」
 おかあさんの車でも十分で行けるから、自転車で近道したらもっと早いかもしれない。
「もう、しょうがない子ね。車に気をつけてね、よそみしないでまっすぐ走るのよ……。」
「うん。わかってるわよ。」
 いつもの通学路を猫又木山団地に向かって走った。
 団地に入ってすぐひだりに曲がって、二棟と三棟のあいだの公園をぬけて、六棟のうらにでると目のまえに猫又木山文化会館のある、おおきな木立ちがみえてきた。団地の北側のほそい道にでて東に向かうと、おおきな道にでてひだりに曲がるともう
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