あずきの恋人 (連載?)/たま
 
 おかあさんが家に電話して、おばあちゃんが元気そうだったから、このまま買い物に行くことになった。動きはじめた車の窓ガラスをいっぱいにあけて、わたしは猫又木山文化会館の三階をみあげたの。
 あっ、だれかいる……、鈴木さん?
 たしかに、三階の廊下の窓にだれかがいて、こちらをみていたけれど、すぐに、わたしの視界からみえなくなった。


 絵本教室がおわってから、わたしはまいにち、スケッチ・ブックをひらいては絵本のつづきを考えていたけれど、外山先生が教えてくれた、イチローの恋人は、どうしてもみつからなかった。
 もちろん、わたしがイチローの恋人になってもいいけれど、それではなんだか、こどもっ
[次のページ]
戻る   Point(13)