あずきの恋人 (連載?)/たま
 
もっぽくなってしまう気がしていやだったの。
 夏休みも、あと数日でおわりだった。
 その日の午後も、リビングでスケッチ・ブックをひらいて、なんとなく猫又木山文化会館の絵を描いていた。
「ねぇ、あずきー。」
 いつものスーパーへ、買い物にでかけていたおかあさんが帰ってきた。
「なに……?」
「イチローさん、来なかったかしら?」
 えっ……、イチロー……、さん?
「んー、まだだよ。」
「あら、そうなの? きょうはおそいわねぇ……。」
 なによ、おかあさんったら、イチローさん……なんて、気持ちわるいんだからぁ……。そう言えばさいきん、イチローとおかあさんはすごく仲良くしている。
 
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