マリアと犬の夜/TAT
マーによく似た男なら私は彼女を赦さねばならないのかも。】
家に帰るとマンマとパパオが相変わらず喧嘩していて、マリアは辟易しながらいつも通り仏頂面で夕食を済ませた。全くの無関心と無表情を装いながら。ベッドに入る前に地球の夏の夜を映した庭で煙草を吸っていると、豆柴のテイリオが寄って来て高い声で勇敢にワンと吠えた。いつもは頭痛薬に痺れながら追い払う豆柴の顔が身勝手にも今夜はくせ毛のハリーに見えてマリアは子宮に熱を感じた。
ドアーを開けて台所から豚の骨のスープに沈んだほうれん草の根の芯を取ってきてマリアはそれを犬にやった。尾を振りながら犬はそれを食い散らかした。明日の休みシフトに心を広げながら化粧
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)