12/30/はるな
偉大なもの。時間、鳴る体。体温,天気、あらゆる液体の性質。またいつの間にか伸びた髪の毛を黒く染めた。これはもしかしたらひとつの儀式のようなものかもしれない。酒好きの男に恋をしていた十八ヶ月のあいだ、わたしの髪の毛が黒いことは一度も無かった。洋服も黒いものを着る。知らない街にいる間には色彩のつよいものを積極的に着た。そういうのはいくらでもある。色も、匂いも、かたちも。不思議なのはひとつ場所を替えるたびに戻ってきたと感じることだ。わたしに、次にまた行く場所があるなら、それはやっぱり何かしらなじみのある懐かしい何かなんだろう。戻ってきた、と感じながら、いつもここがどこなのかさっぱりわからない。どうし
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