The Tale of Bear/そらの珊瑚
 
が学校から帰ってくる時間だわ」
「おいくらかしら?」
「一人十どんぐりになります」
「また来るわね」
「シャルロット、元気そうで良かった」
 主婦たちはシャルロットをかわるがわる抱きしめて帰っていった。

 客がみな帰ってしまうと夕暮れがもうそこまでやってきていた。
「日が短くなったわ」
 くまカフェには時計がない。暗くなったら、一日の営業はおしまい。誰の顔であるかわからない黄昏になったら、みな自分の家に帰るのだ。

 カラン、カラン。
「すみません、もう今日は終わり……」
 ふりむいたシャルロットの眼に待ち人の顔が映った。
「シモン!」
「残念。遅かったか。君のパン
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