The Tale of Bear/そらの珊瑚
 
ルクをたっぷり入れたジンジャーティがお好みだった。ザッザッ。ショウガをすりおろすと鼻へぬけるような香りが広がる。暖炉の前の席でそれを飲みながら、昼までの時間を新聞を読みながら過ごすのだ。
「何かいいニュースでもある?」
 シャルロットがテーブルにポットとカップを置いた。
「いいニュースでもないけれど、もうそろそろ初雪らしいね」
 シャルロットは少しさみしくなる。初雪が降れば私達くまは冬眠しなくてはならない。春が来るまでカフェはおやすみ。
「ところで、シモンは帰ってきた?」
「いいえ、まだよ」
 シモンはシャルロットの夫のツキノワグマ。養蜂家だった。春から秋まで花を追いかけて蜂蜜を採る
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