The Tale of Bear/そらの珊瑚
 
採るために旅をしている。
「じゃあ、エマが死んだこと、まだ知らないんだね」
 くまカフェはシャルロットの母親エマと一緒にやっていたのだが、先月エマは亡くなった。もともと心臓に持病があったのだ。
「そうよ。行ったきり、どこにいるのか皆目見当もつかないの」
 シャルロットはため息をつく。
「まあ、男ぐまなんてそんなものだがね」
 ヤンは老眼鏡をはずして目頭を親指と人差し指で押した。
「深いかなしみはなくならない。けれどこの森が、癒してくれるよ」
 それはシャルロットに言った言葉であるが、同時に自分に向けてのものでもあった。シャルロットが生まれるずっと前からヤンはこの店の客であった。エマ
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