あずきの恋人 (連載?)/たま
 
ていなかった。
「ねぇ、あずき。だれもいないわよ。」
「う……ん、あ、お昼休憩かもしれないわよ。きっと……。」
 たしかに一階にはだれもいなかった。
「あ、おかあさん、あれ!」
 階段の下にちいさな立て看板があって、そこには『手づくり絵本教室は三階です』と、青い字で書かれてあった。
「あら、三階なの。エレベーターあるかしら……。」
 おかあさんはそう言って、廊下のおくのエレベーターのボタンを押したけれど、エレベーターは動かなかったの。
「節電中なのよ、きっと。」
 わたしはそう言って、おかあさんの手をとって階段を上った。階段のおどり場には青い矢印があって、三階までつづいているみた
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