あずきの恋人 (連載?)/たま
 
みたい。三階の廊下にでると、また、矢印があって、
『手づくり絵本教室はこのおくです。』って、書いてあった。
 階段はとても暑かったからおかあさんはもう、汗をかいて、ふー、ふー、言ってる。せまい廊下の窓も、いくつかある部屋のドアも、すべて閉ざされていて物音ひとつ聞こえなかったし、どの部屋にもひとのいる気配はなかった。第二会議室は廊下のいちばんおくにあって、ちいさな木のドアのよこの壁に『手づくり絵本教室』と書いた紙が貼ってあった。
 あ、チラシの紙とおなじみたい。やっと着いたわ。

 トントン……。
 おかあさんがノックした。
「はい。どうぞ……。」
 ドアの向こうで男のひとの元気な声
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