月の嗤うさき ー第二稿 /……とある蛙
 
に灯りはないが
月明かりのもと
月の与える智慧に
道行きを急ぐイザナギ
ひたひたと歩く彼に
ヒトとなることが何ほどかの意味があろうか


彼の足下はうねったまま
彼の歩みは逞しく
雄々しく彼の行き先に続いて行く
延々と歩いた先はヒトのいる先
月は智慧を彼に与える。
智慧は彼に苦悩と目的を与え
伝えるヒトを探す。



    4

森の外れまで歩いてきた類人猿を
眺めていた私は
突然軽い目眩を感 じ意識が遠のき
目覚めたとき体毛のため小枝が絡まり
藪の中で身動きできなくなった。
藪の中はせいぜい蚊が飛び交う程度
[次のページ]
戻る   Point(10)