あずきの恋人 (連載?)/たま
っとそのせいかもしれない。今日はじっくりイチローの顔を観察して、猫の気持ちがわかるわたしになりたいと思った。
イチローはソーセージを食べると椅子にすわったまま眠りはじめたの。
「もぉ……、ねちゃったらだめじゃん。」
わたしはイチローを抱きおこしてひざのうえに乗せると、イチローの顔に両手をあてて、ほっぺたを指でつまんでひっぱったり、耳をつまんで前やうしろにたおしたりして、怒った顔や、笑った顔や、泣きそうな顔や、いろんな表情の顔をつくっては絵本のストォリーを考えたの。イチローはときどき嫌そうな顔をしたけれど、たぶん、ソーセージをもらったから仕方なさそうにおとなしくしていた。
そのときだっ
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