あずきの恋人 (連載?)/たま
だった。
パタ・パタ・パタ・ター、って……。
窓の外をバイクが走ったと思ったら、イチローはわたしのひざから飛びおりて、玄関にむかって鳴きながら走っていった。
アー、アー、アー……。
「えっ、どうしたんだろう……?」
だれかが来たのかもしれない。わたしはイチローのあとを追いかけて、玄関のドアを開けてみたけれどだれもいなかった。イチローは玄関の前のしろい郵便ポストのうえに、すばやく飛び乗ると、ほそくて長いしっぽをまっすぐ立ててふりかえった。
アー、アー……。
「あ……、そっかぁ。郵便屋さんが来たのね、きっと……。」
わたしはポストのなかをのぞいてみた。
「ん……? なにか
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