石・草・虫など、その概念と考察/山人
二、ラーメン
人が何かを決めるとき、そして、何か変化を求めるとき、その臓腑を充足させる食べ物があるとすれば、それはラーメンである。
近代、中華そばと命名され、しなちくとかん水の芳香が界隈を漂い暖簾に染み付いている。
笑顔のない、高圧的な店主の声は、互いのこれからの戦いの前の効果的な精神戦である。
洋食がテーマパークなら、ラーメンは自分で作り上げる私小説である。
スープの表面に適度が脂液が漂い、トッピングはその沼を彩る食欲の蓮である。
麺は小麦臭を残し、歯の圧力を俄かに跳ね返す弾力ではなく、ほどよく包み込む肉布団のような性格を保っている。
スープをすすり、麺を噛み締め、胃に落とし込んだ
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