石・草・虫など、その概念と考察/山人
を買い、壁を夢想する。
壁は人にとって大切であるが、見たままのところにしか壁はない。壁は取り払われるのを待っているだけなのに。
十一、銃
命を奪おうとする器具があるとすればそのひとつに銃があげられる。
生き物をこの世から葬り去る器具、死の温度は冷たいのか、死後は冷たいのか。その世界観をそのまま金属的に造形した、器具。
発砲の原理、それに沿い、銃器は爆発の力に拠る弾丸の発射、そして空気の摩擦を突破し目的物に着弾、生命を奪うべく破壊。命を維持するべく臓器の破砕、命を守るエネルギーを循環させる血液管の破砕、それらによる致命的な損壊。
血液臭はどこか金属臭と似ている。
十二、
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