石・草・虫など、その概念と考察/山人
 
では何かに襲われることがない環境でなければならない。
脱糞の最中、ナイフが胸に刺さる恐れがあるとすれば、そこは個室でなければならない。
その排泄物を受け止める容器がある。便器と呼ばれ、人はその容器の口めがけて脱糞するのである。
人が自分の底にたどり着く場所、それが便所だ。


十、壁
とかく人は壁をつくりたがる。むしろ壁があるからこそ、壁によってすべては支えられ、人が生きていると言ってもよい。
人類の誰一つ拝んだことがない宇宙の端にすら、壁があると言う。それは何もない壁なのかもしれないし、あるのかも解らないとも言われ、解らないことにすら壁の存在を主張する。
皆が、壁を売り、壁を買
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