石・草・虫など、その概念と考察/山人
 
びる、そして自分がどれだけ伸びたのかは知らないようだ。


三、虫
喜びも悲しみも、味気ない羽根に埋め込んで、どんよりとした複眼で曇天の空を仰ぎ見る。微風に楚々と関節を動かせば、触角も俄かに揺れる。
人から嫌われ罵られても表情を変えることがない。害虫として生まれて害虫として叩かれ、殺されてもなお誠実な生き様がある。静かに殺されていくのだ。
秋、虫は少し触角を動かし、季節の変わり目を感じている。


四、鳥
自由な象徴として鳥は認められている。
曇天の、人々が吐き出す重い溜息のかたまりを刻むようにトレースし、さえずりながら一掃する。鳥の羽毛の中に希望がある。強大な胸肉でその沈殿
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