かさぶた/涙(ルイ)
 
んなことなんかじゃなくって
そいつによって沸々と湧き上がる感情であったり
心が拠り所を失ってしまったり
どこへもぶつける宛もなく
結局は自分に向けるしかないやり場のなさだったり
眠ることさえ怖くなってしまったり
思い出すことによって何度も何度も痛めつけられていたんだということ
かさぶたをひっぺがえすのは己の爪ばかりじゃ決してないということ


つらい記憶がフラッシュバックしてしまうのは
もうしょうがないことなのです
思い出すつもりじゃなくても出てきてしまう
そんなの当たり前のことだったのです
たとえて云うなら 子供のころに習った掛け算の九九
繰り返し繰り返し復唱しては
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