雨、犬、つむじ、台所のこと/はるな
 
の毛も白い。


犬を十匹。
夫が一人。
幸福だろうな、と思う。かんがえるだけでこんなに幸福になってしまえるのだもの。

夫はリビングで寝ている。きょうは小さないさかいをした。つまらないことだ。そのあとですぐ横になって寝てしまった。わたしがシャワーを浴びて出てくると、いい匂い、と言ってにこにこしながらまた眠った。


夜。幸福のかたちが窓へうつりこむのを見ながらお湯を沸かしている。
雨はもうふっていないし、彼とはもう会わない。
それに、ここには犬も、子どももいない。
流し台の上にはつくりつけの棚があって、洗い物の少ないときにはそこでかわかしてしまう。いまはマグカップがふた
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