雨、犬、つむじ、台所のこと/はるな
ふたつ並んでいて、それは朝に使ったものだ。
まいにち朝に、一番気に入っているカップで夫にコーヒーをつくり、二番目に気に入っているカップで自分のコーヒーをつくる。それを幸福と言わずしてなんと言うのだろう。けれど、幸福がそんなに独りよがりなものであっていいのかしら?
もう、お湯のわくのを待たずに、ひとりで、お酒をのみはじめてしまう。
台所はしずかで、はだしの足に床がつめたく、見放されたような心持で、それでいて、どうしてかほっとしている。
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