雨、犬、つむじ、台所のこと/はるな
 
する?と夫に聞くと、犬を飼おう。十匹だな。犬を十匹飼おう。と、言う。


雨の降っているうちは泣きそうなくらいのぶ厚い曇りだったのが、夕焼けは見事だった。まえにも書いたけれど、オフィスからみる夕焼けはすばらしい。これだけ曇りだからきょうは見られないでしょうね、などと話していたら、空にぱかりと隙間があいて、そのあいだを飴玉のようにひかる太陽が落ちて行った。雲にはさまれて、にじむように染まる空。
彼とはいちども夕焼けをみなかった、みたとしても朝焼けだけだ、と、考えているうちに黒が来てしまう。
どこへいても、いつでも、彼のことをかんがえている。みっともない、恰好の悪いことだ。

右向きに渦
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