黒田三郎詩集 現代詩文庫を読む/葉leaf
 


 この詩には、外部の視点と内部の視点が併存しています。外から見たら自分は「昨日と同じ」。それでも、内側から見ると、自分は「まるでちがってしまったのだ」。このように、外から見たら、客観的に見たら、なんてこともない大したことのないことであっても、それが内なる視点から見られると、途端に意味が激変するということはよくあります。もっとも典型的な例としては、人生の無意味さです。外から見れば人生など無意味です。それでも、内側から、まさに生きてるその人からすると、その人の人生はその人の目的そのものであり、多様で複雑な意味に満ちているのです。このように、視点を外に置くか内に置くかによって物事の価値が激変す
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