黒田三郎詩集 現代詩文庫を読む/葉leaf
 
変するということ。ここに、この詩の投げかける大きな問題があるのではないでしょうか。
 詩というものは多くの場合、内なる視点から書かれるものです。詩人の内側から見て、自分がどうであるか、ということを詩人は詩にするのです。詩人の内側から見ると、詩人の体験や思想はさも重大であるでしょう。内なる視点しか持たない詩人は、そこで終わります。内なる視点からから見ると、他人のことはよく分からない。内なる視点に視座を固定していると、他人の内部は常に外部として現れます。だから、他人がその他人にとっていかに意義深い生を営んでいても、内なる視点しか持たない人にとって、その他人の生の意義はほとんど理解できない。他人の内部
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