リルケから若き中島敦への手紙/すみたに
 
られる。では(私に忠言をお許し下さったわけですから)私がお願いしましょう。そんなことは一切おやめなさい。あなたは外へ目を向けていらっしゃる。だが、何よりも今、あなたのなさってはいけないことがそれなのです。」
リルケはある若き詩人へという。

 彼の意志は外へ向かってしまっているのに、
 閉ざしてしまう。円環へとはいりこんでしまった。
 そしてその円環こそ、虎の檻となっていたのだ。

 だが彼は虎になり忘却を重ねるうち、自己が何者なのかを忘れ、
 忘れていくが故に自己を明らかとしていく。
 なぜなら鏡像などない獣の世界において、世界は唯我的に現れるからだ
 そしてとうとう彼の意志
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