白い猫の話/MOJO
 
するのを諦めたのだろう。それとも致命傷を負ったか。
 いずれにしても、私は暗澹たる思いに囚われた。
 数日経って、私は自転車を漕ぎ、白猫を探しに行った。自室から半径五百メートルをくまなく探したが、白猫はどこにもいない。
 おそらく、あの猫は、致命傷を負ったか、クルマに轢かれて死んだのだろう。片眼で、後ろ肢にも障害がある彼が、他の地域でテリトリーを確保できるとは思えない。餌の問題もある、半分は家猫化した彼に自力での餌の調達は難しいと思われる。
 私は、はたと考えた。もしかすると、自分は余計な事をしたのではないか。自然の摂理に反することをしたのではないか。
 隣のアパートが解体された時点で、
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