続続・田村隆一詩集 現代詩文庫を読む/葉leaf
 
立しています。ですが、この作品にみられるのは、それ以上の官能性ではないでしょうか。女神が舌をぬらす、というのはまさにエロティックな表現でありますし、様々なイメージの列挙も、読者を惑わし、読者をイメージの官能の中に巻き込むものであります。さらに、この詩には「遊び」がふんだんに取り入れられています。遠いものを結びつけるということは、逆に言えば恣意性を許容するということであり、また、経験を破るということは、経験の呪縛から自らを解き放つということでもあります。また、官能性自体も遊びであり、感覚の自由な刺激の中に自らを漂わせることであります。
 西脇はのちに、彼が74歳の時に出版された『詩学』に収録される
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