続続・田村隆一詩集 現代詩文庫を読む/葉leaf
 
933年、彼が39歳の時に出版されたものです。その四年前、1929年、彼が35歳の時、『超現実主義詩論』を出版しています。『超現実主義詩論』において、西脇は、退屈な人生を面白くするために時空間的に遠く離れたイメージを結びつけることを詩学として提示しています。さらに重要なことは、この論において、彼は芸術を、経験を表現する現実主義ではなく、経験を破る超現実主義としてとらえていることです。
 確かに、「雨」を読んでみますと、青銅と噴水とツバメと、意外なものが結合されているのが見えますし、雨を女神の行列とみなすことも意外な比喩であります。そして、この作品は全き虚構であり、西脇の経験を超えたところで成立し
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