遺書にはならない足跡 2/セグメント
たのだが、過呼吸という症状を起こしたのだ。うまく息が吸えていず、私は軽い喘息を持っているが、その息苦しさとは別種の息苦しさを覚えた。目の前がだんだん見えなくなり、視界が本当に目前だけというか、点でしか捉えられなくなった。呼吸が出来ていないような気がした。恋人はビニール袋を私に宛がい、そこで呼吸しろという感じだったので、わけも分からず、従った。
いや、本当は分かっていた。過呼吸の人は酸素を吸い過ぎているということ、自分の吐き出した二酸化炭素を吸えば症状は落ち着いて行くこと。「NANA」という漫画で読んだことがあった。だが、私は認めたくなかったのだ。精神的ストレスから
生じるのであろう、過呼吸が
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