仕事/ブライアン
こえてくる。駅前の商店街の光が、ホームにも届く。彼は鞄から携帯電話を取り出す。携帯電話の光が彼の顔を照らす。メールは誰からも来ていない。着信も。
彼が部活から帰ろうとすると、同級生の女子高生が話しかけてきた。今まで話したこともない子だった。彼女は彼に部活のことを尋ねた。彼は部活のことを答えた。そして、手を振って別れた。
彼は鞄を強く抱きしめた。風が吹いている。冷たい風だった。夏が過ぎて秋になった。いつまで半袖で暮らすべきか、彼は迷っている。夜になるとさすがに寒さを感じる。虫が鳴いている。彼は露出した腕の摩る。息を吸い込む。彼女の名前を何度か頭の中で呼ぶ。彼女は階段で立ち止まり、声のもとを探
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