仕事/ブライアン
を探す。見上げるとそこに彼はいる。彼女は微笑み、階段を上る。手すりに手をかけている。彼は手すりにもたれかかっている。
特急電車がホームを通り過ぎる。ホームの反対側に、電車を待つ人影が見える。彼はベンチに座ったまま、その人影を見ていた。ホームの明かりがちょうどよかった。目をつぶればまた眠りに落ちそうだった。
父が働き続けたことを知ったのは、いとこの父が亡くなった時だ。父は叔父の亡骸の前で泣いていた。酒を飲んだことを、現場に向かったことを述べた。嗚咽が言葉を乱し、言葉の輪郭を失わせた。酒と煙草で溶けた前歯を見せ、父は最前列で弔辞を終えた。振り返った時、すでに涙はなかった。朝から晩まで仕事を
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