夢を描く/MOJO
釣をするためにここに来たらしい。歩き回っているのは、竿をだすのに適当な処を捜しているはずなのだが、どういうわけか、私は手漕ぎの小舟で沖にでてきてしまった。リズムカルにオールを操り、これ以上先はない処まで小舟を漕いできた。見上げると満天の星々。海面は月明かりに照らされて光っている。まるで銀塊を粉状に砕きばら撒いたようだ。私は深夜の大海原の真々中で、誰かと交信している。話しているのではなく、交信しているのだ。海面からカツオのような魚が顔を出し、私を見ている。私の交信相手は、あの魚であるらしい。私たちは、何かとても大切なことについて、テレパシーで交信しているようだ。なぜならあやつは魚のくせに目玉をまっす
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