加害者と被害者/桐ヶ谷忍
だから、仕方ないだろう、と思われているし、
そう言われた。
仕方ないから、お前が過去の事を綺麗に忘れ、変われ、と
言っている。
それは随分都合が良すぎるのではないか?
私は泣き寝入りをしろと言外に命じられている。
そしてまた、自分達親は、どう変わるのかについて
全く言及しないし、思慮外でもあるだろう。
ただ、私が変われば良いと、実家の信仰する架空のカミサマに
毎日祈り、祈る事が私への罪滅ぼしと考えており、現実の私には
一切何の影響もない。
「お前は恵まれている」
「お前はどれだけ自分が恵まれているか分かっていない」
親は何かというとこの言葉を何
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