加害者と被害者/桐ヶ谷忍
い。
だから変われない。私はいつまでも被害者のままで、
そして被害者であるからこそ、加害者になっている。
悪循環。メビウス。幼いまま歳だけを重ねる。
謝罪をされれば気が済むだろうか。
された事がない。
謝罪に似た言辞はもらった。だがそれは、あくまで
似て非なるもので、実際にはただの言い訳をされただけで
言い訳をされて、理解と許しを与えられるほど、私は
出来た人間じゃない。
むしろ憤りを深くしただけだった。
恨みをまた沈めただけだった。
親は、子に、何をしても謝罪しなくて良いとまでは
思っていない事は察せられる。
だが、過去の事だか
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